直美の母が誰なのかは台本をいただいてから知った

――第17週では、ずっと行方を追っていた直美の母が、瑞穂屋で働く柳川文ということが明らかになります。この展開は事前に知らされていたんですか。

上坂 台本をいただいてから知ったので、「まさか文さんが直美のお母さんなんだ!」と本当にびっくりしました。第17週は、直美の人生の土台が一気に揺れ動く大事な週だったので、撮影に臨むときは緊張感がありました。

――文を演じる内田慈さんも台本で初めて知ったのでしょうか。

上坂 内田さんは最初からご存知だったそうです。第6週で、りん、直美、トメちゃん(原嶋凛)と三人で瑞穂屋に行って、美津さん(水野美紀)がお琴を弾いているシーンがあります。そのときに会話はしていないんですが、その場に文さんがいたんです。私自身、文さんが母だと知らずにその場にいたので、後から見返して感慨深かったです。

――それまで冷静なことが多かった直美は、母を意識することで看護婦としても大きく取り乱します。

上坂 第17週の撮影では、直美の弱い部分と向き合う時間のほうが長くて……。知りたいという気持ちがあったにも関わらず、急に母という存在が現れることによって、今まで要領よく両立してやれていたものができなくなります。文さんのことで、牧師の吉江先生(原田泰造)に思いの丈をぶつけるシーンもありますが、それまで看護婦として悩むことの少なかった直美が、人のためにどうしたらいいか分からないと苦悩します。そういうときに、りんや吉江先生といった周囲にいる人たちが助けてくれて。結果的に文さんとの接し方が正解の行動だったかは分からないけれど、最後まで向き合えたんだと思います。

――最後に今後の展開で注目ポイントを教えてください。

上坂 直美は帝都医大病院を辞めて、また新しい環境に身を置きます。長屋のトヨさん(松金よね子)、母と同じ夕凪を名乗っていた女郎のセツさん(村上穂乃佳)、そして文さんとの交流を経て、お金がなくて満足に看護を受けられない人のために看護がしたいという強い気持ちを持って、新たな行動に出るんです。りんも新潟で新たなスタートを切りますが、お互いに違う場所で仕事に向き合っていくことになります。それによって、りんという存在の大きさを改めて知ることになりますし、それ以外のところでも、直美にいろいろな変化が訪れて、新しい人たちとの出会いも描かれるので、そちらも楽しみにしていただけたらうれしいです。

Information

連続テレビ小説「風、薫る」
NHK総合/毎週月曜〜土曜8時ほか

脚本:吉澤智子
原案:田中ひかる「明治のナイチンゲール 大関和物語」
音楽:野見祐ニ
主題歌:「風と町」Mrs. GREEN APPLE
語り:研ナオコ
出演:見上愛 上坂樹里 佐野晶哉 生田絵梨花 古川雄大 井上祐貴 内田慈 平埜生成 多部未華子 原田泰造 水野美紀 坂東彌十郎 ほか

主人公はそれぞれに生きづらさを抱えた二人の女性。当時まだ知られていなかった看護の世界に飛び込み、傷ついた人々を守るために奔走し、時に強き者と戦う――明治という激動の社会を舞台に、幸せを求め生きるちょっと型破りな二人のナースの冒険物語。

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上坂樹里

2005年7月14日生まれ。神奈川県出身。21年8月から『Seventeen』専属モデルを務め、同年に俳優デビュー。22年にNHK『ヒロイン誕生! ドラマチックなオンナたち』、23年にNHKの特集ドラマ『生理のおじさんとその娘』ではヒロインを演じ、東京ドラマアウォードにて作品賞・単発ドラマ部門の優秀賞を受賞。その他に、CX『いちばんすきな花』、24年にNTV『となりのナースエイド』、CX『ビリオン×スクール』、25年にTBS日曜劇場『御上先生』、BS NHK『トゥルーカラーズ』、NHK総合『いつか、無重力の宙で』に出演。映画出演作に『ロマンティック・キラー』(25)、『山口くんはワルくない』(26)。2025年7月14日、1st写真集『日日是好日』(幻冬舎)発売。

PHOTOGRAPHER:HIROKAZU NISHIMURA,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI