ライブ映像を断片的に出し続けていることが新たなファンの流入につながった
――「PERFECTLY DEFECTiVE TOUR 2026」の振り返りをお伺いしたいんですが、ツアーファイナルとなった6月26日の豊洲PITのMCで、今回のツアーはメンタル面で浮き沈みがあったというお話をされていました。
Novel Core 今回のツアーに限らずなんですが、長い期間かけて全国各地を回っていると、ツアーに直接関係ないことでも同時進行で動いていることがたくさんあって、忙しくなるんです。だから毎回ツアー中は浮き沈みがあるんですけど、その中でも今回は歴代のツアーでもトップクラスに波が大きかったですね。まだ世に出せないものも含めて、音楽関連だけでも5つぐらい、音楽以外のことも含めて、ツアー中に裏で同時に動いているものが本当に多くて。だから人としても、アーティストとしても、ボーカリストとしても、チームを仕切るフロントマンとしても、もっと強くなりたい、もっと強くならなきゃっていう気持ちになる瞬間がすごく多かったんです。

――特に大変だった時期はあるんですか。
Novel Core 大阪公演と福岡公演が立て続けにあった2デイズです。大阪公演の会場へ向かう新幹線の中は、気持ちの落ち込みが一番下のところまで行っていて、正直ダメになっちゃいそうなぐらい沈んでいました。会場に着いてからも、それを持ち上げるのが難しくて。バンドメンバーやスタッフさんたちも気遣ってくれていたんですけど、それをライブで持ち直すというか。OUTERのみんなが僕の曲をデカい声で歌ってくれているのを見て、ちゃんと味方がいるんだ、こんなことでつまずいてくよくよしている場合じゃないと、目の前に広がる景色からもらえるエネルギーで気持ちを取り戻す。そういうことが大阪に限らずツアー中たくさんあって、ツアーファイナルはそれを思い返しながらライブをやっていました。
――単純にフィジカル的な疲れというよりは、メンタルの部分が大きかったんですね。
Novel Core もちろん結構なスケジュールで動いているので、体にも負担はかかっていると思うんですが、ちゃんと休みの日は作ってもらっているんです。でも結局、休みの日も考えごとをしてしまうし、動いてしまう。体力的な部分よりも、シンプルに考えることの量が多くて。今考えたところでどうしようもないこともあったりして、そういうところが一番影響していました。
――遠征先でもライブだけに集中できないくらい、やらなきゃいけない仕事があったと。
Novel Core 今までもライブパフォーマンスだけに専念できるツアーは、ほぼなかったんです。移動中も別のことを考えていますし、制作しているものもある。ただ今回のツアーはロックカルチャーが好きな層のファンが増えていることも大きかったですね。
――どういうことでしょうか。
Novel Core 去年の「“BACK TO AGF” TOUR 2025」あたりから顕著になってきているんですけど、ロックカルチャーが好きな子たちがたくさんライブに来るようになっていて。特に今回のツアーは、タイミング的にロックフェスに出演した後だったのもあって、去年よりもさらにそれが増えるだろうなという状況だったんです。そうなるとフロアのミクスチャー化、フロアのカオスさを、純粋にわちゃわちゃさせるだけじゃなくて、それぞれが、それぞれを受け入れ合う空気を作りながら、今の輪っかのまま成長させていく必要がある。それを実現するためにも、僕が発信しなきゃいけないこともたくさんあって。もちろんOUTERに委ねるとか、スタッフさんたちに任せるところもあるんですけど、ステージに立っている僕の口から発信することで、コントロールする部分もいっぱいあったので、良くない方向に広がらないように神経を使いながらガイドを出していて、それをツアー中はずっと考えていました。
――メンタルの浮き沈みが、楽曲制作などのクリエイティヴィティに影響することはないんですか。
Novel Core 影響はするんですけど、自分自身が強くなったのかなというところもあって。前だったらそれで歌詞が全く書けなくなるとか、言語化ができなくなるということがあったんですけど、最近はそういうことはなくて、作品は作品で別の向き合い方ができるようになってきています。とはいえ全部地続きでつながっているのは確かなので、影響がないと言ったら嘘になります。浮き沈みがありながらも、豊洲PITまで来たなという感覚がありました。
――前回の取材はツアー初日を終えた直後でしたが、5月29日の北海道公演でも、新しい顔ぶれが増えているという実感はありましたか。
Novel Core ありました。Novel Coreのツアーは札幌から始まるイメージがあるぐらいで、今回行ったPENNY LANE24も何度もやっているハコですし、札幌という地域自体にホーム感を感じています。それでも今回は空気感が新鮮で、シンプルに言葉にすると、見たことのない顔がいっぱいいたんです。ステージに立っていると、よく来てくれている子たちの顔や名前は結構覚えている自信があって。だからこそ初めましてっぽい子が多いなと感じていて。5月31日の仙台公演も、2022年にやった最初のツアーで回った仙台Rensa というハコで、4年ぶりだったんですけど、そこも新しい空気感でした。もちろんいつも各地についてきてくれているOUTERも目に入るんですが、新しい子たちと混ざっていて、今までのツアーであまり感じたことのない独特の雰囲気でした。まだ広がってきているという確信までは持てないんですけど、前のツアーよりも、新しい人たちが興味を持って、ライトに遊びに来てくれているのかもしれないという感覚があって、それは自信につながりました。同時に、フロアに対するエデュケーションというか、今までのツアーでやってきたものをもう一度、根気強く一からやっていかなきゃいけないなというのも強く感じました。フロントマンとしての立ち回り方を、ライブによって変えながら各地を回っていましたね。

――新しい層がツアーに駆け付けるようになったのは何が大きいと分析しますか。
Novel Core 一番デカいのは、直近の一年、自分たちのチームでライブ映像を収録して、フェスにしろツアーにしろ、それを断片的にずっと出し続けているということだと思います。バンドだと当たり前のように、どのチームもやっていることなんですけど、意外とBMSGという文脈の中で、その日の映像がリアルタイムで切り抜かれて上がることもなかったんです。そもそもツアーファイナル公演でもない限り、一眼を持ったカメラマンやシネマトグラファーみたいな人たちが、映像化する予定のない公演にもついて回ってくれていて、ライブ映像が常にSNSに出回っているということ自体がスタンダードじゃないんです。それをやり始めてから、もともと気になってくれていた人たちの中で、「ライブ面白そう」とか「ただ激しいだけじゃなくて、思いやりある感じで楽しいんだな」とか、Novel Coreのライブに対する解像度がちょっと上がった感じがしていて。それがツアーの動員もそうですし、来てくれたときのみんなの立ち振る舞いにも生きているなと感じます。
