ミクスチャーフロアで成功例を作れたのが次につながる

――前例のないエリア分けということで、難しさもあったのではないですか。

Novel Core めっちゃ難しかったです。そもそもやっている人がいないので、ゼロイチの話になるんです。まず懸念点をいっぱい出さなきゃいけなくて、たとえばエリアを分けるのであれば、イベンターさんや会場側と話して、各エリアにはキャパシティがあるから、その範囲内に必要以上の人が押しかけないように、各エリアのキャパシティを管理するスタッフを入り口に置かせてほしいという条件が出てきたりする。その分、人件費もかかってきますし、普段よりもレギュレーションも難しくなるけど、それをどうやってまとめるかなど、一つひとつ順序立てながら話を進めていかなきゃいけない部分がたくさんありました。あとはモッシュやダイブといった激しい遊び方も、本来は禁止されているものなので、どういうふうに安全に楽しんでもらうかというのを、僕ら側でも握っておかなきゃいけない部分もありますし、ファン側に委ねなきゃいけない部分もある。そういうところのラインをどこまで引くか、というのをすごく話し合いましたし、僕たちみたいなスタイルのライブをやるアーティストにとって、うやむやにしちゃいけないことなので、そこに向き合う時間も長かったです。

――当日に向けて、SNSの発信も積極的に行っていました。

Novel Core アナウンスの出し方一つにしても、毎回ミーティングを挟んで各所に確認を取って、この言い方で間違いないかというのを、ずっとやり取りしながら、前日の夜まで詰めていました。もちろん完璧はないと思っていますが、自分たちができる範囲のことは100%やりきったから、「これ以上は、みんなに任せるよ」と言える状態をちゃんと作りましょうというのが命題だったので、そこは僕以上に細かいやり取りをしてくれたスタッフさんたちが、めちゃくちゃ頑張ってくれました。

――ライブですから、出たとこ勝負な部分も大きいですし、勝手が分かっているOUTER以外のお客さんも大勢来る中で、しっかりとコントロールできていたのはすごいことです。

Novel Core まさに仰る通りで。初めてやったとは思えないほどスムーズだったので誇りに思っていますが、逆に言うと、今このタイミングだったからうまくいったのかもしれないという気持ちもあります。もう少し時期が後ろだったら、よりファンが混ざっている可能性があって、僕のことを深くは知らないけど純粋に曲が好きとか、フェスで見て興味を持ってくれた子たちの割合がもっと多かったら、もしかしたらここまでうまくいっていないかもしれない。だからこそ、この時期に一回やって、自分たちのファンと運営が向き合って、一つ成功例を作れたということが、次につながる足がかりになっているのは間違いないと思います。今回取れたデータもたくさんあるので、次はこうしないといけない、もしかしたらこういうエリアの分け方の方がよかったかもしれない、そもそもステージの位置がエンドじゃなくてセンターになって、360度でエリアを分けた方が距離を感じないかもしれないなど、いろんなアイデアも出ています。それを次に試すまでの時間は少し空くと思うので、その間に準備できることをみんなで考えようというのが、豊洲PITが終わった後の課題です。

――当日のライブを観て、ミクスチャーフロアがスタンダードになっていく可能性を感じました。開演前からものすごい盛り上がりでしたが、あの雰囲気は予想できていたんですか。

Novel Core 全くできていませんでした。どうなるのか本当に分からなくて、ずっとソワソワしていました。朝6時ぐらいに会社に行って歌い込みと運動をして、9時半には豊洲PITに入って、まだステージが組まれる前から会場にいました。フロアが実際に組み上げられて、柵が立って、スタッフさんたちがミーティングしているところを見たりしながら過ごしていて、アクティブゾーンを一番前に作っても、そこにあまり人が入らずに周りのセーフティーゾーンに人が集まってしまう可能性もあるし、それはそれで正解だと思いながら、今の状況でどうなるのかステージに出るまで想像がつきませんでした。そんな状況の中でモニター越しに見た、開演前のBGMで、みんながサークルモッシュしたり、隣の人と肩を組んで歌ったり、会話もすごく多いように見えたし、わちゃわちゃしてる人たちを見て、遠巻きで楽しむ人たちの姿も含めて、全部が美しくて。みんなで作ろうとしてくれているんだなと改めて感じました。終演後、大きな怪我だったり、トラブルだったりも起きず、無事に終わったよという報告を受けて、僕は安心してバックヤードで号泣したんですけど、そのときにチームのスタッフさんたちにも話したことがあって。ライブの前日か前々日ぐらいに、LINE通話なのかXのスペース配信なのかは分からないんですけど、有志のOUTERの子たちが十数人で、豊洲PITのアクティブゾーン周辺で怪我人が出ないように、みんなで統率を取りながらはっちゃけられるように、こういうことが起きたときはこうしようと、打ち合わせのようなことを事前にしてくれていたみたいなんです。それは僕が一切介入していないところで、ファンの中で自発的に起きていたことで、僕はXにその話が上がっていたのをちらっと見ただけなんですけど、7時間くらい話し合っていたみたいで。

――すごいですね!

Novel Core 僕たちが一公演を作るのにかけている労力って、たかだか2時間のライブじゃ伝わりきらないと、いつも思いながら立っているんですけど、それと同じぐらいOUTERのみんなも、僕たちの想像がつかないぐらいライブに向けて準備をして考えて、いいものを一緒に作ろうという気持ちでやってくれているんだなというのを、ライブ前、ライブ後に改めて感じさせてもらいました。本当に良いファンを持ったなという気持ちだったし、その気持ちに恥じない動きを自分たちもしていかなきゃいけない、頑張らなきゃという気持ちにさせられました。

Novel Core

東京都出身、25歳。ラッパー、シンガーソングライター。SKY-HI主宰のマネジメント / レーベル “BMSG” に第一弾アーティストとして所属。高いラップスキルと繊細な歌唱技術を保有しながらも、等身大の言葉で紡ぐ飾らない表現力とパワフルなライブパフォーマンスが話題を呼び、幅広い世代から強い支持を集める。ヒップホップとロックを軸に、様々なサブカルチャーを融合させた独自のミクスチャーサウンドは、ジャンルに縛られない自由な表現として高い評価を獲得。これまでに発表した全てのアルバム作品が主要チャートで日本1位を獲得するなど、その名を確かなものとしてきた。2024年1月、日本武道館での単独公演を完全ソールドアウトで成功させ、翌2025年2月には自身初となるアリーナ単独公演を決行。大型公演に限らず、全国各地のライブハウスを巡るツアーも精力的に展開し、圧倒的なライブ力と真摯な姿勢でファンダムとの強い信頼を築いている。また、ライブの総合演出をはじめ、衣装のスタイリングからアートワークのデザインに至るまで、全てのクリエイティブにおいて一貫してNovel Core自身がディレクションを担っており、その鋭い感性は音楽シーンの枠を超えて高く評価されている。FERRAGAMOやETROなどのトップメゾンのモデルにも起用されるなど、ファッション業界からの注目も高く、アーティストとしての表現領域をさらに広げている。音楽、ファッション、アートワークなど、多種多様なカルチャーへの愛とそれを裏付ける実力で、Z世代を牽引する新世代ミクスチャーアーティスト。

PHOTOGRAPHER:TOMO TAMURA,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI