前作『Momi』から制作方法がガラッと変わったニューアルバム『KICKS』
――メジャー7枚目のオリジナルアルバム『KICKS』のタイトルにはどのような思いが込められていますか?
NakamuraEmi(以下、Nakamura) 前作のアルバム『Momi』を出したのが2021年7月で、それから新しいことに挑戦した二年半だったので、前に切り込んで進むというイメージと、ストリートのファッションや考え方が好きなので、スニーカーで蹴り出す、という意味も込めてこのタイトルにしました。
――全体を通して聴くとNakamuraEmiさんの生活を追体験しているような感覚になりました。日々のうれしい経験と苦しい経験が織り交ざっている人間味あふれる作品だと思いますが、曲順などにこだわりはありますでしょうか?
Nakamura 気分によって区切って聴き分けられる形と、全体をずらっと並べて聴いても気持ちの良い形の両方を探りながら曲順を決めました。
――アルバムのコンセプトを教えてください。
Nakamura 今までは誰かと音楽を一緒にやることがあまりなかったのですが、コロナ禍でなかなか人に会えない中で、いろんなミュージシャンに出会えたのはすごいことだなと思っていて。その中でたくさんの吸収をしつつ、様々なコラボやプロデューサーのカワムラヒロシさんと一緒に曲を作るという挑戦をしました。いろいろな人たちと共に進めた第一歩だったのでそういうものを詰め込んだアルバムになったと思います。
――これまでと歌詞の書き方に変化はありましたでしょうか?
Nakamura 大きく変わったのは歌詞の面でもカワムラさんと一緒に作るという挑戦を初めてさせてもらったことです。それまで歌詞は全て自分一人で書かないと満足できなかったのですが、コロナ禍でカワムラさんと頻繁にリモートで打ち合わせをして、たくさんのアイデアを出し合って切磋琢磨して、トライアンドエラーを重ねたからこそ、幾つもの共通言語が出来たんです。カワムラさんとだったら自分の歌詞を預けて一緒にセッションできるかもと思いました。
――カワムラさんとの信頼関係が深まったことで歌詞も一緒に作るようになったんですね。『Momi』から制作方法に変化はありましたでしょうか?
Nakamura アルバム自体は半年ぐらいで作ったんですが、先行シングルも含めると一年ぐらい前からカワムラさんと時間をかけて丁寧に作っていきました。今まではデモをカワムラさんに渡して全部アレンジしてもらう形だったんですが、今回は歌詞のイメージから「こんな音かな」というのを一緒にセッションしながら作っていったんです。
――ライブ活動はいかがでしたか。
Nakamura ライブはずっと続けていて、藤原さくらさん、矢井田瞳さん、安藤裕子さんなど、ツーマンライブで多彩な方々と出会ったり、いろんな場所に突然ワンマンライブをしに行って、その土地のアーティストの曲をカバーしたりしました。カワムラさんとセッションしたことによって、たとえば既存の曲をアレンジして、どうやって歌うかなど、新たな挑戦にも繋がっていきました。前向きな気持ちになれた一年だったと思います。
――6月8日から始まるNakamuraEmi「KICKS Release Tour 2024」ではアコースティックライブとバンドでのライブを行いますが、二つに分けた理由を教えてください。
Nakamura アコースティックだからこそ歌詞がダイレクトに生々しく伝わる世界観のライブと、バンドだからこそ日記のような歌詞を映像みたいに浮かべることができるライブの2パターンを楽しんでいただきたかったんです。6月から8月はアコースティックで、カワムラさん二人でたくさんの場所を回って、10月はバンドで大阪、愛知、東京で公演をさせていただきます。いつかは47都道府県を全て回れるように頑張りたいです。
――7月6・7日にはコットンクラブで「「七夕はここで。~2024~」Thank you !!! Event 10th Anniversary 2Days Live”」を開催します。
Nakamura 毎年恒例の七夕ライブなんですが今年は記念すべき10回目なんです。2015年の七夕ライブでメジャーデビューをお伝えしてから、毎年初心に帰るという意味で続けています。1日目、2日目と、それぞれ違う編成なので楽しんでいただきたいです。