「かぐや姫」で武道館の宙へと舞い、「桃太郎」ではきびだんごを模したボールを客席に投げ入れる

詩羽が、この日2着目の衣装を見せながらステージを歩き回ると、「かわいー!」と客席から声があがった。この日の衣装は、THE FIRST TAKEの「エジソン」の衣装も制作したDOKKA vividが全て制作したという。「今日、一番私がかわいいと思う!」と笑顔で語った詩羽は告知タイムへ。オオカミの持つカンペを見ながら、アナログ版をリリースしたこと、コラボスニーカー受注開始、グッズの販売に加え、6月に3rd EP『POP DELIVERY』にリリースすること、7月にZeppツアー「POP DELIVERY」を開催することを発表すると大きな声援が会場を包んだ。子供たちの声が聞こえ、「そんな幸せなことあっていいのかというくらい幸せです!いつかみんなここに立つんだと!」と子供達に向けてメッセージを伝えた。

「まだまだ盛り上がれますか?」と観客たちに投げかけ、ステージの空中で揺れる赤と白が入り混じる照明の下で「キャロライナ」を熱唱。詩羽の伸びと声量ある歌声が武道館を包んだ。詩羽が観客たちにスマホのライトをつけるようアナウンスすると、スマホのライトが360度から照らす中で「織姫」へ。まるで宇宙にいるようなドリーミーな光景の中、じっくり歌い上げた。

そのまま激しいビートの展開が続いていく「卑弥呼」を披露すると、最新曲「たまものまえ」では刑事の格好と鑑識の格好をしたダンサーたちが登場。刑事と鑑識がキレ良く、どこか無機質にダンスする光景は、異世界にトリップしたかのような錯覚に誘われるようだった。続く「かぐや姫」では、詩羽がハーネスを身につけ、武道館の宙へと舞い上がった。空中に浮かんだ詩羽は、竹のように天に向けて光る緑色のライトの中、水カン歴代楽曲の中でも最も荘厳で静と動の対比が強く浮かび上がる同楽曲を丁寧に熱唱した。ステージ上には立体的で宇宙的な照明が燦々と輝き、「かぐや姫」の世界を見事に表現してみせた。

会場に雑踏の喧騒音が流れると、スーツを着た人たちや女子高生などが登場し、ステージに渋谷の街が再現された。「モヤイ」のトラックが流れ、詩羽が同楽曲を歌い始めると、路上ライブをやっている雰囲気にステージ上の通行人たちが集まってくる。観客となった彼らは詩羽のライブに手を挙げ盛り上がる。「日本武道館、最後まで盛り上がれますか?」と、ステージ外の観客達にも呼びかけると、会場にいる観客たちとともに大きな盛り上がりを生み出していく。

同楽曲を歌い終え、詩羽が女子高生たちと写真を撮っていると、ブッブーとクラクションが鳴った。そして「ティンカーベル」のイントロが流れ始めると、ステージ上の通行人たちは時間が止まったかのように動かなくなってしまう。真っ暗な中、懐中電灯で光を灯しながら、ステージ上を歩き回りながら歌い上げる不思議な世界観を演出し、再び詩羽はステージから姿を消した。

ちゃぽんちゃぽんと水が流れる音が流れると、画面には桃太郎の物語が流れ始めた。至ってスタンダードな桃太郎の物語だ。一通り物語が終わると、「と、ここまではみんなが知っている桃太郎ですが、こんな桃太郎もあるそうです」と暗転。「桃太郎」のイントロが流れ、アリーナ後方に光る桃が登場した。会場がざわめく中、パカリと桃が割れると、中には衣装チェンジした詩羽の姿が。すると桃が動き始め、センターステージの周りをグルグルと進んでいく。その周りには猿と犬と雉もいる。桃の中で詩羽は「桃太郎」を歌いながら、きびだんごを模したボールを客席に向けて投げ入れていく。

楽曲を歌い終え、花道に到着した詩羽は桃から降り、ステージ中央へ。初代水カン時代から変わらぬ振り付けを観客とともに行い盛り上がりをみせる。そして、初代水カンのヒット曲「一休さん」、「ツイッギー」を連続して披露、盛り上がりはさらに加速していく。続けて5人のダンサーたちが登場すると、中央の詩羽を起点にソウルフルなダンスチューン「金剛力士像」で艶っぽいダンスを見せた。ダンサーたちの立膝の上に腰掛け歌う見事なフォーメーションなど、ステージ上のパフォーマンスに観客たちは魅せられた。