自分たちが吸収できるものは吸収して、もっとかっこよくできそうなところはかっこよくする

――精力的に映像をあげるようになって、SNSに対する意識も変化しましたか。

Novel Core めちゃくちゃ変わりました。僕もミュージシャンとして、「消費されたくない」「縦型動画に迎合したくない」という気持ちがあるし、そういうフォーマットに準じるものばかりがチヤホヤされる時代に対して思うところもあります。でも、みんなが今好んで見ているのはそういう動画なので、どれだけ自分たちの音楽やパフォーマンスに自信があっても、そこにいないというのは結果的に伝わる機会を損失していることになる。そのフォーマットの中で自分たちが最大限できることを普段から見つけてやっていかないと、大衆が好んでいるものを憎んでいるだけのヘイターになってしまう。なぜ注目されているかにフォーカスを当てて、自分たちが吸収できるものは吸収して、もっとかっこよくできそうなところはかっこよくするという考え方でいるのがいいのかなと。

――頭ごなしに否定しないと。

Novel Core それにショートや縦型の動画に関して、僕たちのチームは弱かったという自覚もあったんですよね。だから音楽に限らず、ファッション系のコンテンツやプライベートの切り出しなど、いろんなものを雑多に作って、毎日のようにアップしていくみたいなこともできるんですけど、それを外部にオファーする前に、ショート動画で注目が集まるとはどういうことかを僕自身が勉強して。ある程度、自分でできるようになってから、こういう動画を作りたいと伝えたほうが伝わりやすい。それには僕だけのリソースでは無理だから、チーム内のスタッフさんの手も借りて、こういう動画を作りたいと言えたほうがいいかなと思っているんです。直近の1年間はTikTokを中心に考え方を変えて、動画を上げる頻度も上げたし、いろんなタイプの動画を作ってみました。その甲斐あってTikTokのフォロワーも増えて、動画の再生数も一時期は2万回くらいのアベレージだったのが、今は25万〜50万回の間で推移していて、特に伸びている動画は1、2週間で100万回近く回るものが出てくるぐらいエンゲージメントが高まっています。

――そうした試行錯誤で、気づいた具体例を挙げていただけますか。

Novel Core たとえば「あやとりコンテニュー」の“1, 2, 3, ハイ”というイントロは、配信登録されている音源を再生しても、押した瞬間に始まるのではなく、0.5秒ぐらい空いてから始まります。その0.5秒があるだけでも動画の伸びが全然違って、余計なところをカットしないと伸びないんです。だから基本的に動画は頭を詰めていて、スクロールした瞬間に何かが始まっている状態にしています。あとはズームエフェクトですね。定点で撮られているだけの映像よりも、一見すると気づかれないレベルで、ゆっくりと寄っていく映像の方が再生数がよかったりする。そういう初歩的で細かいテクニックを、主に海外のショート動画を参考に取り入れています。

――音楽のクオリティやパフォーマンス力の高さとは違うところで工夫が必要なんですね。

Novel Core いい音楽を発掘しようと思ってTikTokを観ている人って、そんなに多くなくて。僕たちは作り手なので、そういう目線で見てしまいますけど、実際のアクティブユーザーは、そんなつもりで見ていないんです。気合いの入ったものを作るのもいいんですが、意外とクスッと笑えるふわっとしたコンテンツに、音楽が結びついているものが受け入れてもらいやすいんです。正直、ライブ映像の切り抜きは伸びにくくて、画も縦にするとダイナミックさが失われるので、ライブ映像はライブ映像として別軸で出しています。ショートと割り切って捨てる方が、結果的に曲を聴いてもらえるし、アーティストに興味を持ってもらえるんですよね。実際、ここ最近はTikTokから僕を知ってくれた人も増えています。映画『名無し』の主題歌「名前」を担当させてもらったことを発表したときに上げた動画も、ありがたいことに評判がよかったんですが、いつもふざけた動画ばかり上げているから、「Novel Coreは音楽をやっている人だったんだ」という反応もありました(笑)。それで知ってもらえたなら万々歳ですからね。今後も動画に関しては、いろいろなアイデアがありますし、その土台作りとしてはいい1年でした。