OUTERのウォール・オブ・デスに歌いながらツボった
――“強度の高い楽曲”の連続で体力面はいかがでしたか。
Novel Core 去年のツアーで、このセットリストをやっていたら、おそらく倒れているというか、歌えなくなっていたと思うんです。でも日頃のトレーニングも相まって、「もう一回やれ」と言われても行けるぐらい体力的には全然余裕でした。むしろ考える余裕があったので、「ここはもっと上手くやれるはずなのに」「なんでこの高さで苦労してるんだろう」「こう動いたほうが、お客さんもついてきやすいな」など、ライブ中も歌の面や細かいテクニックの部分が気になっちゃうんですよね。

――ステージから見るフロアの盛り上がり方はいかがでしたか。
Novel Core まず前提として、同じ曲を聴いていても、同じ楽しみ方をする必要はなくて。どんなに激しい曲でも、静かに見たいと思うのであれば静かに見たらいいし、激しい遊び方をしたくなったら、こちらが制限することはない。本当に危なそうだったら、さすがに止めるんですけど、予想外のことが起きるのもライブの醍醐味だし、それが楽しくて僕はライブをやっているので、フロアのみんながやりたいようにやってくれたらいい。その上で今回のツアーは各地で全然表情が違っていて。すごくシャイに見えた曲もあれば、「この曲でこんなに盛り上がるんだ」という曲もあって、それが地域ごと、会場ごと、曲ごとで全然違う。だから自分の曲に対する解像度が、僕の中でどんどん上がってくるというか、この曲にはこういう側面もあるんだなと、ライブをやって僕が感じるということもあったりして。ライブで曲が育っていく感覚を、みんなのおかげで体感できました。あとお客さん同士の会話が増えているのもうれしかったですね。
――開演前から、いろんな場所で会話が行われているのが聞こえてきました。
Novel Core 開演前もそうですし、ライブ中も前後左右の人たちで「大丈夫」「ありがとう」といったやりとりが常に起こっていたので、純粋にうれしかったです。「誕生日の人いますか?」という流れから、「HAPPY 365」をやったときも、たまたま同じ名前の人がいたり、後方の人の名前を伝言したりと、仲良くなりそうな雰囲気があって、実際、「MCがきっかけで話して仲良くなりました」みたいなDMも届きました。普段は全く違うところで、全く違うものを信じて生きている人たちが隣り合ったときに、自分たちは一つなんじゃないかと錯覚できるのがライブハウスのいいところだなと思っていて、それをみんながフロアで作っているのが伝わってきたし、どんどんみんながそうやって友達を作って仲良くなってくれたら、もっとフロアは良くなると思います。
――ライブ中にOUTERの予想外の反応はありましたか。
Novel Core 一番面白かったのは1曲目の「DiRTY NASTY」で、クワイアっぽい声がたくさん入ってきて壮大になるパートがラストのサビ前にあって。曲を作っているときからウォール・オブ・デスを想定していて、縦にフロアを真っ二つに割って、楽曲の盛り上がりに合わせて左右がドカーンとぶつかるモッシュが起きるだろうなと思い描いていたんです。実際、ロックフェスで僕が煽ったり、僕が煽らなくても勝手に起きたりしていて、ツアー中もそういうことがあったんです。ただ幾つかの会場で、開いたウォール・オブ・デスが閉じないという現象が起きて、それがカルチャーショックでした。開かないのは分かるんですよ。知らなかったら「開けろ!」と言われても戸惑うでしょうし。ところが、ちゃんと開いて、その場で僕の顔を見ながら「イエーイ!開けてやったぜ」みたいなドヤ顔をしているんです(笑)。不自然なくらい閉じないから。歌いながらツボっちゃって。「NO WAR」みたいに何かのメッセージなのかなと思うぐらい、みんなが明確に意思を持ってやっているように見えたんです。

――ウォール・オブ・デスは殺伐とした空気になることもあるので、微笑ましいですね。
Novel Core いいですよね。閉じなかったからって、フロアにいるみんなが気にする必要は全くなくて、そういうカルチャーを知らないからこそ起こることだし、それは別に悪いことじゃなくて、むしろ楽しいことだと思うんですよね。バンドメンバーとも「次の曲のイントロまで閉じないのはめっちゃ面白いな」と盛り上がりました。
――アンコールで「名前」を初披露しましたが、緊張感が伝わってきました。
Novel Core 今回のツアーのセットリストは静かなパートを極限まで減らしていて、「僕の大切な映画」や「I Think I Guess」を歌うセクションが唯一落ち着いた時間になるんですけど、その後すぐに「DOG」で戻す流れにしていて、ずっとアッパーでやり切ることを意識していました。だから、セットリストに「名前」を組み込むとなると、大改造しないと無理で、たとえば大型のMCを作ったり、SEを仕込んだりが必要になってくる。地味に変えた部分もあるんですが、このセットリストでツアーを回ってきて、OUTERもそれに慣れてきているからこその良さがあるので、あまりセットリストを動かしたくないという気持ちがありました。正直、アンコールを意図的に作るのはあまり好きじゃないんですけど、豊洲PITに関してはファイナルだし、みんなもアンコールをやるぐらいの熱量で来てくれると思うから、アンコールを先に作っておいて、そこで「名前」をやるという構成にしました。
――本編とアンコールの落差がすごかったです。
Novel Core 曲の前に静かに、暗くなるようにして、SEをクマさんと一緒に作りました。ただトラウマですね……。特に“抱えきれないものを増やすことを”という歌詞を歌っているあたりで、マジで一回引退して、すぐに復帰しようかなと思うぐらい(笑)、なかなかしんどい状態でした。そもそも再現性を求めるとキリがないくらい、めちゃくちゃ歌が難しい曲なんですけど、それを2時間フルスロットルで走り切った後に歌うというのは現実的に無理で。しかも名古屋公演で喉の調子を一回壊してしまっていて、点滴などで治療もしていたんですけど、回復しきっていないままでの豊洲PITだったんです。まだ自分が思っているコンディションじゃない状態で「名前」をやったので、めちゃくちゃ悔しい出来でした。ただNovel Coreの名誉のために言うと、リハーサルは完璧だったんですよ。だから万全な状態で、みんなに初披露として聴いてもらいたかったという気持ちはめちゃくちゃあります。ただ、トムくんと一緒に組んだ照明の演出も素晴らしかったし、2時間のライブを通しての流れや空気があったからこそ、パフォーマンスの良し悪しや上手い下手というところだけではないところにドラマが生まれる状況ができていたと思うと、あそこで「名前」を初披露したのは間違っていなかったし、意味深い初披露になったと思っています。
――今後のライブでどう「名前」を扱うかは、まだ課題ということですか。
Novel Core めちゃくちゃ悔しかったので、秋ツアーのセットリストには絶対入れようと思っていて、どう入れるかはまだまだ考えないといけないですね。果たして秋ツアーでどうなっているのも楽しみにしてほしいです。
