自分たちの新しいプレゼンスを示すには、そのルールの上で戦わなきゃいけない局面が絶対にある

――豊洲PITで、10月15日よりスタートする5都市8公演を巡るライブハウスツアー「BLACK TiE TOUR 2026」のアナウンスがありました。

Novel Core 日本の音楽シーンのど真ん中に、ミクスチャーという名のもとにNovel CoreとOUTERの名前が強く刻まれた旗を立てに行くという、僕たちからのブレークスルー宣言という位置付けのツアーです。それを仕掛けるにあたっての最終準備として、僕たちにとって今足りていないピースが何なのかが幾つか思い当たって。それを秋のツアーで回収して、万全の体制を作るという名目があります。黒のネクタイをテーマにしたのも、最終的にそういう壇上にも挨拶に行かないといけないので、そのための正装に着替えるという意味合いがあります。そういう柄じゃないけど、自分たちなりにおめかしをして、一回そういうポーズを取って、みんなで凛々しく行きましょうよと。ツアーコンセプトはDRESS RIGHT, GO WRONG.(正しく装い、正しさごとぶっ壊せ)。既存の音楽業界のシステムや日本の音楽シーンのマナー、誰が作ったわけでもないけど暗黙のものがあるはずで、そこに自分たちの新しいプレゼンスを示すには、そのルールの上で戦わなきゃいけない局面が絶対にある。それを一回受け入れた上で、最終的には自分たちで刷新して何かをぶち壊せるように準備しようというツアーです。サプライズが結構あるので、言えないことがたくさんありますけど、楽しみにしてほしいです。

――なぜライブハウスツアーにしたのでしょうか。

Novel Core まず小規模・中規模のライブハウスで、できる限り距離が近いところでツアーをしたいなというのがあって。ちょうど今、そういうコミュニケーションがフロアとの間でも育ってきているところなので、もう少しブラッシュアップしたいという意味でこの規模の箱を選ばせてもらっています。11月22日の東京公演で渋谷のclubasiaを選んだのにも意味があって、おそらくその理由はOUTERも分かっていると思います。clubasiaでやる、しかも昼と夜で二公演あるということは、過去の流れから、きっとそういうことをするんだろうと想像がついているんじゃないかと思います。

――ツアー初日となる10月15日のWWW Xはツアー唯一の対バン公演で、福岡の3ピース・バンド「muque」が出演します。

Novel Core このタイミングでmuqueをブッキングしたのも、僕的には大きな理由があって。たとえば僕らが主催の対バンと聞いたら、「カミサマキドリ」を一緒にやったヤマタクさん(山中拓也)のいるTHE ORAL CIGARETTESみたいに、フロアが激しく盛り上がるバンドを想像すると思うんです。でも、あえてそれとは違うバンドを選んだのは、僕たちの世代は横のつながりが、他の世代に比べて圧倒的に弱いなと感じているからです。THE ORAL CIGARETTESの世代なら、ロックバンドはもちろん、シンガーとも横でユナイトして、一緒にカルチャーを作ろうという空気感がある。でも僕たち以降の世代は、良くも悪くも、音楽に対するジャンル感やカルチャー感がバラバラ過ぎて、言ってしまえば全員ミクスチャー状態になっている分、逆に徒党を組みづらくなっているんです。自分がどこに属しているのかも分からずに、個々でやっているので、みんなで手を取り合って、この世代が作っている音楽の面白さ、たとえば僕たちの根底にあるボカロだったり、ロックだったり。muqueも曲調はポップなんですけど、しっかりトラックを聴くと、めちゃくちゃロックで、それは作編曲を担当しているドラムのTakachiくんとギターのKenichiくんが実はめちゃくちゃラウドロックにルーツがあるというのが関係しているんです。その上でボーカルのAsakuraちゃんのメロディー、歌詞、声によって独自のポップさを生み出していて、僕たちが「日本発の新世代ミクスチャー」という旗を振るにあたって、muqueに共鳴する点がたくさんあったんです。そういう自分たちの世代のルーツ、カルチャーなどを、みんなで強く押し出す必要があると思ったんですよね。そうじゃないと僕たちの世代ならではの面白さや、日本の今の音楽シーンが持っている可能性は示せないんじゃないかと。そういう意味でも、岡山のフェスで一緒になったことがきっかけでmuqueと仲良くなって、密にコミュニケーションを取っているので、今やるべきだと思って声をかけさせてもらいました。お互いにスタイルの違うバンドですが、どこかに似ているところがあるし、せっかく対バンするなら、なんか一緒にやりたいねという話もしています。共にお互いのファンに楽しんでもらえたらうれしいですし、日本音楽の面白さを存分に感じてもらえる対バン公演になるはずです。

――秋ツアーの前にも、夏フェスをはじめ、たくさんのライブが控えています。

Novel Core 「WILD BUNCH FEST. 2026」など、初めて出演させてもらうフェスも幾つかありますし、ありがたいことにロックバンドとの対バンのオファーもいただけるようになって。7月12日に広島でベガス(Fear, and Loathing in Las Vegas)、9月10日に渋谷eggmanでASH DA HEROとの対バンもあります。だからこそ、それぞれの場所でのライブの戦い方や、Novel Coreが何者かを示すことが大事になってくる期間なので、一つひとつ手を抜かず、全部に全力投球で頑張らないといけないというのがありつつ、2年後、3年後、もっと言うと東京ドームに立つ5年後を想像したときに、今の自分たちに足りていないものは何なのか。それは音楽的な部分だけじゃなくて、いろんな側面であるはずなので、しっかりと足場を整えながら、Novel Coreとしての体制を一からクリエイトしていく。そういう未来のことをちゃんと考える期間としても、この夏はガッツリ使いたいなと思っています。

Novel Core

東京都出身、25歳。ラッパー、シンガーソングライター。SKY-HI主宰のマネジメント / レーベル “BMSG” に第一弾アーティストとして所属。高いラップスキルと繊細な歌唱技術を保有しながらも、等身大の言葉で紡ぐ飾らない表現力とパワフルなライブパフォーマンスが話題を呼び、幅広い世代から強い支持を集める。ヒップホップとロックを軸に、様々なサブカルチャーを融合させた独自のミクスチャーサウンドは、ジャンルに縛られない自由な表現として高い評価を獲得。これまでに発表した全てのアルバム作品が主要チャートで日本1位を獲得するなど、その名を確かなものとしてきた。2024年1月、日本武道館での単独公演を完全ソールドアウトで成功させ、翌2025年2月には自身初となるアリーナ単独公演を決行。大型公演に限らず、全国各地のライブハウスを巡るツアーも精力的に展開し、圧倒的なライブ力と真摯な姿勢でファンダムとの強い信頼を築いている。また、ライブの総合演出をはじめ、衣装のスタイリングからアートワークのデザインに至るまで、全てのクリエイティブにおいて一貫してNovel Core自身がディレクションを担っており、その鋭い感性は音楽シーンの枠を超えて高く評価されている。FERRAGAMOやETROなどのトップメゾンのモデルにも起用されるなど、ファッション業界からの注目も高く、アーティストとしての表現領域をさらに広げている。音楽、ファッション、アートワークなど、多種多様なカルチャーへの愛とそれを裏付ける実力で、Z世代を牽引する新世代ミクスチャーアーティスト。

PHOTOGRAPHER:TOMO TAMURA,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI